gastric ulcer
胃潰瘍とは

胃潰瘍とは

医療法人香誠会 えぞえ消化器内視鏡クリニック

胃潰瘍について

胃の粘膜が胃酸によって攻撃されて深く傷ついている状態が胃潰瘍です。
この記事では、胃潰瘍について、その特徴、原因、症状、検査、および治療について詳しく説明します。

  • 胃潰瘍(1)

  • 胃潰瘍(2)

  • ※胃潰瘍との区別が難しい胃がん

胃潰瘍の特徴

胃液は強い酸性の消化液です。平常時の胃や十二指腸の粘膜は胃酸によってダメージを受けない保護機能を備えています。しかし、様々な要因により胃酸分泌が亢進したり保護機能が弱くなったりすると、胃酸の強力な消化作用により胃粘膜に炎症を起こし、それがひどくなって欠損を生じてしまった状態が胃潰瘍です。
十二指腸潰瘍も同様の機序で生じますので、同じカテゴリーに属する病気ですが、好発年齢、症状の特徴などが微妙に異なります。胃潰瘍は40~60歳代に後発し、欧米よりも日本に多い疾患です。

胃潰瘍の原因

胃潰瘍が生じる原因としては、以下ような要因が挙げられます。

 

 ヘリコバクター・ピロリ菌: 

胃の中に生息する細菌です。胃潰瘍の患者の70%以上にヘリコバクター・ピロリ菌感染を認めるというデータがあり、胃潰瘍の原因としては最も重要とされています。

 

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs) 

NSAIDsは、消炎鎮痛・解熱薬として様々な疾患に使用されますので、多くの方が使用する機会が多い薬です。NSAIDs(アスピリン、イブプロフェンなど)の使用も短期間であれば問題ないことがほとんどですが、長期間にわたって使用すると、胃潰瘍のリスクが高まります。ちなみに、NSAIDsには坐薬もありますが、口から飲んでも坐薬で使用しても血中に吸収されて作用するため、どちらも潰瘍発症のリスクとなるという点においては変わりありません。

 

ストレス

長期間のストレスや心身の負荷も、「ストレス潰瘍」という言葉が存在するくらいですので、胃潰瘍を引き起こす可能性があるとされています。過度の肉体的・精神的ストレス負荷により自律神経の働きが乱れ、血流障害などが惹起されて潰瘍が生じるとされています。しかし、ストレス単独で潰瘍に進展することは実は多くはなく、主には上述したピロリ菌感染者に生じることが明らかとなっています。

 

様々な薬剤

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)以外にも潰瘍の原因となる薬剤が存在します。骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネートが代表的です。ステロイドも潰瘍の発症リスクとなると言われていましたが、様々な研究により現在では優位な危険因子とは考えられないことが分かってきています。

胃潰瘍の症状

胃潰瘍の症状として一般的に知られているのは以下のようなものです。

 

上腹部の痛み

上腹部(みぞおち)に鈍痛を感じることが最も多いです。胃潰瘍の場合、食後に痛みを自覚することが多いというのが、空腹時や夜間に痛みを自覚することが多い十二指腸潰瘍との違いです。

 

食欲不振

 食欲が減退し、食事後に胃もたれや吐き気が生じることがあります。

 

出血・貧血

潰瘍から出血すると、吐物に血液が混じる場合と便に血液が混じる場合があります。血液は胃酸と混じることで黒くなるため、一般的には吐血では暗赤色、下血ではタール様の便になります。しかし、出血量が多い場合は新鮮血の吐血・下血となる場合もあります。

 

胃潰瘍の検査

胃潰瘍の診断には、以下の検査方法が一般的に行われます。

 

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

内視鏡を使用して胃内を観察し、胃潰瘍の診断を行います。
内視鏡で潰瘍の特徴を詳細に観察することで、止血治療が必要ないかどうか、穿孔のリスクがないかどうか、狭窄や変形などによる通過障害のリスクがないかどうか、胃がん(悪性の潰瘍)ではないか、などを確認します。
なお、背景の胃粘膜の状態を観察することで、ヘリコバクター・ピロリ菌感染の可能性も予想できます。

 

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染診断

尿・血液・便・呼気などを利用して、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無を確認します。 ピロリ菌の検査について、詳しくは下記リンクをご覧ください。

胃潰瘍の治療

胃潰瘍の治療の基本は、穿孔や出血など特別な合併症がない場合は内科治療が基本となります。プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾールなど)を使用すると、ほとんどの潰瘍は1〜2ヶ月で治癒(瘢痕化)します。

 

ピロリ除菌療法 

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が確認された場合には、抗生物質と酸抑制剤の組み合わせで除菌治療を行います。除菌治療について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

原因薬剤の中止

NSAIDsの長期使用による潰瘍(NSAIDs潰瘍)と診断された場合、可能な限り原因と考えられる薬剤を休薬します。休薬が難しい場合は潰瘍再発抑制を目的としてプロトンポンプ阻害剤を併用します。

 

生活習慣の改善

ストレスを軽減するためのリラクゼーションや適切な食事、禁煙などの生活習慣の改善が推奨されることがあります。

 

内視鏡的止血術

出血(吐血や下血)を認める場合、血圧や脈拍が落ち着いていれば内視鏡での止血治療を行うことがあります。ただし、これには専門的な処置具や十分なマンパワー、治療後の絶食のための入院が必要となりますので、基本的には専門施設(病院)で行う必要があります。

以上が、胃潰瘍についての基本的な情報です。
潰瘍を放置して悪化すると胃に穴が開いて(消化管穿孔といいます)腹膜炎を起こすことになり、緊急手術が必要となる場合もあります。胃潰瘍の疑いがある場合は、早期に医師の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。