melanosis coli
大腸メラノーシス(偽メラノーシス)とは

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)とは

医療法人香誠会 えぞえ消化器内視鏡クリニック

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)について

大腸メラノーシスは、大腸粘膜に色素が沈着して褐色〜黒色の粘膜になった大腸のことを言います。厳密には偽メラノーシスと言いますが、大腸黒皮症と呼ばれることもあります。
この記事では、大腸メラノーシス(偽メラノーシス)について、その原因、症状、検査、および治療について詳しく説明します。

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)の原因

皮膚や毛髪には「メラニン」という色素が存在することで黒色になりますが、大腸のメラノーシスは「メラニン」ではなく「リポフスチン」という物質が大腸粘膜に沈着することが原因です。色調が「メラニン」のように黒いことから「メラノーシス」と呼ばれますが、厳密に言うと「メラニン」ではないため【偽メラノーシス】と呼ばれています。
色素沈着の原因物質であるリポフスチンは、刺激性の下剤の影響で腸管の細胞が死滅し、それをマクロファージ(自分の免疫細胞の一種)が食べることで作られると言われています。

刺激性下剤にも様々な種類がありますが、大腸偽メラノーシスの原因となるのはアントラキノン系下剤という種類です。

アントラキノン系下剤に分類される下剤の成分としては、センナ、アロエ、大黄(ダイオウ)、カスカラ、キャンドルブッシュなどが代表的です。具体的な商品名(一般名)が分からないと対応のしようがないと思いますので、具体的な商品名(一般名)を列挙しておきます。

 

【表1】偽メラノーシスの原因となるアントラキノン系下剤

  商品名(一般名)
センナを含有するもの センノシド®、プルゼニド®、アローゼン®、ヨーデル®、スルーラック®、新ウイズワン®、センナ茶 など
アロエを含有するもの アロエ錠、アロエ粉末、アロエエキス など
大黄(ダイオウ)を含有するもの 防風通聖散®、大黄甘草湯®、麻子仁丸®、桃核承気湯®、柴胡加竜骨牡蛎湯®、大柴胡湯®、乙字湯®、タケダ漢方便秘薬®、ナイシトール® など
カスカラを含有するもの ビーマス®、ベンコール®、ウィズワン® など
キャンドルブッシュを含有するもの

「おなかスッキリ」「便秘解消」「ダイエット」などを効能として挙げている各種健康茶 など

 

 

刺激性下剤には、アントラキノン系下剤の他にも、ジフェノール系下剤、ジフェニルメタン系下剤があります。アントラキノン系以外の刺激性下剤は偽メラノーシスは起こさないと言われていますが、長期服用による弛緩性便秘の原因にはなるため、注意が必要です。

 

 

【表2】偽メラノーシスは起こさないが弛緩性便秘の原因となる刺激性下剤

  商品名(一般名)
ジフェノール系下剤 ピコスルファートナトリウム®、ラキソベロン®、ピコラックス®、ビオフェルミン便秘薬® など
ジフェニルメタン系下剤 コーラック®、ビューラック®、レシカルボン坐薬®、テレミンソフト坐薬® など

 

偽メラノーシスを起こしていなければ大丈夫という訳ではなく、刺激性下剤を長期に渡って連用することで、腸管蠕動を低下させて排便刺激も鈍化することで便秘を悪化させてしまいます。
便秘の対処方法としては、刺激性下剤以外の便秘薬をメインに使用し、刺激性下剤はどうしても排便がない時に限定して使用する程度に留めることが大事です。

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)の症状

ただ単純に色素が沈着しているのであれば問題ないのですが、大腸が偽メラノーシスの状態になると、大腸の蠕動に関与する神経もダメージを受けており、腸管蠕動が低下して便秘の状態となる弛緩性便秘と言われる状態になってしまっています。
良く聞く症状として、「はじめは下剤がよく効いたけど、だんだんと効きにくくなってきた」と感じるようになってきます。
弛緩性便秘となると、刺激性下剤に対する反応も低下するためどんなに下剤を使用しても排便が得られない状態になってしまいます。

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)の検査

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けない限りは分かりません。大腸の形態は変化せず色調だけが変化するため、バリウムを用いた注腸造影検査やCTや腹部超音波検査(エコー)では指摘することは出来ません。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)では、大腸粘膜が褐色~黒色に変色した状態が確認できます(図1)。ポリープは変色しないため、逆にポリープは目立つようになります(図2)。

  • 【図1】大腸メラノーシス(偽メラノーシス)

  • 【図2】偽メラノーシスで目立つポリープ

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)の治療

原因となっている刺激性下剤を中止して他の種類の便秘薬に変更することが唯一の治療となります。1年程度経過すると正常な粘膜の色に戻ることが多いです。
そのためには、便秘薬の成分や特徴をよく理解した上でうまく使い分けることが重要です。便秘薬は最近数年でいくつかの新薬が開発されています。刺激性下剤以外の薬を使って便秘をコントロールしていくことが肝要です。