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十二指腸潰瘍とは

十二指腸潰瘍とは

医療法人香誠会 えぞえ消化器内視鏡クリニック

十二指腸潰瘍について

十二指腸潰瘍とは、胃の奥に位置する十二指腸の表面粘膜に欠損が生じた状態を指します。
この記事では、十二指腸潰瘍について、その原因、症状、検査、および治療について詳しく説明します。

十二指腸潰瘍の原因

十二指腸潰瘍の主な原因は、胃酸の強力な消化作用により胃の奥に位置する十二指腸の粘膜に炎症を起こすことで表面粘膜に欠損を生じることです。
胃潰瘍も同様の機序で生じますので同じカテゴリーに属する病気ですが、十二指腸潰瘍は、胃潰瘍と比べると比較的若い年代に多く(10〜20歳代)、日本よりも欧米に多いのが特徴です。

十二指腸潰瘍が生じる原因としては、以下のような要因が挙げられます。

 

ヘリコバクター・ピロリ菌

胃の中に生息する細菌です。十二指腸潰瘍の患者の90%以上にヘリコバクター・ピロリ菌感染を認めるというデータもあり、十二指腸潰瘍の原因としては最も重要とされます。

 

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)

NSAIDsは、消炎鎮痛・解熱薬として様々な疾患に使用されますので、多くの方が使用する機会が多い薬です。NSAIDs(アスピリン、イブプロフェンなど)の使用も短期間であれば問題ないことがほとんどですが、長期間にわたって使用すると、十二指腸潰瘍のリスクが高まります。ちなみに、NSAIDsにはボルタレン坐薬などの坐薬もありますが、口から飲んでも坐薬で使用しても血中に吸収されて作用するため、どちらも潰瘍発症のリスクとなるという点においては変わりありません。

 

ストレス

長期間のストレスや心身の負荷も、「ストレス潰瘍」という言葉が存在するくらいですので、十二指腸潰瘍を引き起こす可能性があるとされています。過度の肉体的・精神的ストレス負荷により自律神経の働きが乱れ、血流障害などが惹起されて潰瘍が生じるとされています。しかし、ストレス単独で潰瘍に進展することは実は多くはなく、主には上述したピロリ菌感染者に生じることが明らかとなっています。

 

様々な薬剤

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)以外にも潰瘍の原因となる薬剤が存在します。骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネートが代表的です。ステロイドも潰瘍の発症リスクとなると言われていましたが、様々な研究により現在では優位な危険因子とは考えられないことが分かってきています。

十二指腸潰瘍の症状

十二指腸潰瘍の症状として一般的に知られているのは以下のようなものです。

 

上腹部の痛み

上腹部(みぞおち)に鈍痛を感じることが最も多いです。胃潰瘍が食後に痛みを自覚することが多いのに対して、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に痛みを自覚することが多く、食事により腹痛が緩和するとされています。

 

食欲不振

食欲が減退し、食事後に胃もたれや吐き気が生じることがあります。

 

出血・貧血

潰瘍から出血すると、吐物に血液が混じる場合と便に血液が混じる場合があります。血液は胃酸と混じることで黒くなるため、一般的には吐血では暗赤色、下血ではタール様の便になります。しかし、出血量が多い場合は新鮮血の吐血・下血となる場合もあります。

十二指腸潰瘍の検査

十二指腸潰瘍の診断には、以下の検査方法が一般的に行われます。

 

上部消化管内視鏡検査

内視鏡を使用して十二指腸を観察し、潰瘍の状態を確認し、悪性の病気との鑑別を行います。十二指腸潰瘍は胃から出てすぐの球部という部位に最も多く発生します。
内視鏡で詳細に観察することで、止血治療が必要ないかどうか、穿孔のリスクがないかどうか、狭窄や変形などによる通過障害のリスクがないかどうか、などを確認します。
なお、胃の粘膜の状態を観察することで、ヘリコバクター・ピロリ菌感染の可能性も予想できます。

 

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染診断

尿・血液・便・呼気などを利用して、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無を確認します。
ピロリ菌の検査について、詳しくはこちらをご覧ください。

十二指腸潰瘍の治療

十二指腸潰瘍の治療の基本は、穿孔や出血など特別な合併症がない場合は内科治療が基本となります。プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾールなど)を使用すると、ほとんどの潰瘍は1〜2ヶ月で治癒(瘢痕化)します。

 

ピロリ除菌療法

ヘリコバクターピロリ菌の感染が確認された場合には、抗生物質と酸抑制剤の組み合わせで除菌治療を行います。除菌治療について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

原因薬剤の中止

NSAIDsの長期使用による潰瘍(NSAIDs潰瘍)と診断された場合、可能な限り原因と考えられる薬剤を休薬します。休薬が難しい場合は潰瘍再発抑制を目的としてプロトンポンプ阻害剤を併用します。

 

生活習慣の改善

ストレスを軽減するためのリラクゼーションや適切な食事、禁煙などの生活習慣の改善が推奨されることがあります。

 

内視鏡的止血術

出血(吐血や下血)を認める場合、血圧や脈拍が落ち着いていれば内視鏡での止血治療を行うことがあります。ただし、これには専門的な処置具や十分なマンパワー、治療後の絶食のための入院が必要となりますので、基本的には専門施設(病院)で行う必要があります。

 

以上が、十二指腸潰瘍についての基本的な情報です。
十二指腸潰瘍の疑いがある場合は、早期に医師の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。

 

  • 十二指腸潰瘍

  • 潰瘍を繰り返して軽度狭窄した状態