一般的に内視鏡検査における精密検査(二次検査とも呼ばれます)とは、健康診断や人間ドックの際に受けるバリウムの検査や便潜血検査などで異常が見つかった際に「治療を必要とする病変がないかどうか」を胃カメラや大腸カメラで精密に検査することを意味します。
当院は胃がん検診や大腸がん検診の二次検査医療機関に指定されていますので、胃カメラも大腸カメラも精密検査という位置づけの検査を受けていただくことが可能です。
健診や人間ドックで異常を指摘されていない方でも、当院で検査を受けていただくすべての方に精密検査レベルの検査を提供していますので安心して検査を受けてください。
バリウムの検査や便潜血検査で「要精密検査」と判定されたということは、治療を要する病気がある可能性がある、という事を意味します。これを放置してしまうことは折角早い段階で発見することができる可能性がある病気を見つける機会を逸してしまうことになります。
「経過観察」という判定であれば精密検査を受けていただく必要はありませんが、「精密検査」という判定であれば必ず精密検査を受けていただくことをお勧めいたします。
たまに、便潜血検査で陽性だった方で「再検査で陰性だったから大腸検査は要らないと言われた」とか「もともと痔があるためそれが原因だろうと思っている」とか「検査の時に硬い便がでたから肛門が切れただけだろうと思う」と話される方がいらっしゃいます。とても危ない判断です。
便潜血検査とは「便に肉眼では確認できないレベルの血液が含まれていないかどうか」を判定する検査です。
便潜血検査は便をスティックで採取して提出するだけの簡易的な検査で、健康診断の際に、大腸がん検診として実施されています。広く普及している検査ですが、その検査の意義を理解されている方は決して多くなく、便潜血検査が陽性であったにも関わらず適切な精密検査を行わずにそのまま放置をしてしまう方が非常に多くいらっしゃることが課題となっています。
残念なことですが、日本は欧米諸国と比べると精密検査の受診率が最低水準と言われています。先進国においてがんの死亡率が年々増加しているのは日本だけなのです。日本の医療レベルは世界でも高い水準であるにも関わらず、がん死亡率が増加している要因の 1つが、この検診に対する意識の低さではないかと考えられます。
肛門から出血したり真っ赤な便が出たりすれば誰でも心配になると思いますが、便潜血検査で「陽性」と判定されてもあまり深く考えることなく大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受ける機会を逃してしまう方が非常に多く見られます。便潜血検査が陽性だった方は必ず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるようにしましょう。
便潜血検査は通常2回法(2日に分けて便を採取する方法)で行いますが、どちらか1回でも陽性の場合、「異常」と判定されます。
便潜血検査で「陽性」と判定された方の中には、「便潜血検査をもう一度行ったところ陰性だったから精密検査は受けなくていいと言われました」という方が残念ですが多くいらっしゃいます。
便潜血検査が2回法を採用しているのは、大腸がんがあっても常に出血しているわけではないため、 “僅かな出血でも見逃さないように”という理由からです。
1回でも便潜血検査が陽性と判定されたら、必ず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるようにしてください。
折角の早期発見の機会をみすみす逃してしまうことになります。大事なことなので繰り返します。便潜血検査の再検査はダメです。
便潜血陽性と判定された方に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行うと、約 40%の方は異常が見つかりませんが、約50%の方にポリープ、約6%の方に早期癌、約4%の方に進行癌が見つかったと報告されています。
まとめてざっくり計算すると、便潜血陽性と判定された方の約60%に治療すべき病気が見つかっていることになります。
多くの方が考えるように、検査に提出する便が出た際にたまたま便が硬くて肛門が切れてしまったことも少なくはないかもしれませんが、同時にもう少し奥の大腸にあるポリープやがんから出血している可能性も否定することはできないことを強調させていただきます。
便潜血陽性はチャンスと考えましょう。
便潜血陽性と判定された場合、自分に都合のいい方に考えてしまう方も多く、「もともと痔を持っているから」、「生理と重なっていたから」、などと理由をつけて精密検査を受けない方が少なくありません。
便潜血検査で陽性になった方は、がんを見つけるチャンスをもらったようなものです。考え方を変えて、無症状であっても保険診療として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受ける事ができるため、費用的負担が少なく内視鏡検査を受けられるとても良い機会だと考えていただくといいかもしれません。
大腸がんは、早期の段階で発見することができればかなりの確率で完治が望める病気です。
必ず大腸内視鏡検査を受けていただき、是非とも早期発見につなげてください。
健康診断で受けることが多い消化管の検査はバリウムの検査と便潜血検査です。
「要精密検査」と判定される異常で頻度が高いものは以下のような所見です。
<バリウム検査>
胃壁不整、慢性胃炎、胃隆起性病変、胃陥凹性病変、ニッシェ、粗造な粘膜など
※これらはすべて慢性胃炎、胃がん、胃粘膜下腫瘍など、治療の必要性を検討する必要がある疾患を疑われている所見ですが、「要精密検査」ではなく「経過観察」という判定であれば一般的にはすぐに胃カメラを受けていただく必要はありません。
<便潜血検査(2日法)>
2回とも陽性、あるいは1回だけ陽性
※どちらであっても取扱は同じで、大腸カメラでの精密検査が必要です。
必ず健康診断や人間ドックで「精密検査」を指示されていることが分かる書類を持参ください。どの部位で何が疑われているのか分からない状態では精密検査ができません。
結果報告用紙や紹介状など、受け取られている書類をすべてご持参ください。
必要な精密検査の内容が確認できれば当院でそれに合わせた精密検査を受けていただくことになります。内視鏡検査を受けていただいた後、検査の結果を診察室で画像をお見せしながら説明いたします。
異常を指摘されている部位に関しては、詳細に観察した上で必要に応じて生検による組織検査やポリープ切除などを行います。組織結果については後日報告となります。
精密検査として受けていただく胃カメラ、大腸カメラはすべて保険適用となります。
必要な費用は胃カメラ・大腸カメラそれぞれのページを参照ください。